先日、中小企業診断士の「実務補習」を経験しましたので、備忘と中小企業診断士を志す方のために記事にしておきます。

「中小企業診断士」は試験に合格しただけでは「診断士」を名乗ることはできず、実際の企業に対してコンサルティングを行う「実務の研修」を乗り越える必要があり、これが結構ハードで、登録のために15日間の実務経験が義務付けられています。
その代表的な研修の一つが中小企業診断協会が主催する、この「実務補習」です。1月末の合格発表後すぐに2月と8月の回への申し込みが開始されるのですが、できるだけ早く診断士登録をして、私自身の事業機会の拡大を図りたいこともあり、早速2月の補習に応募させていただきました。
実務補習の概要
- 8日間または15日間の集中カリキュラム
: 1社を深く診断する「8日間コース」や、複数社を担当する「15日間コース」などが設定されており、土日を中心に平日にも行われる非常に濃密なスケジュールです。 - プロの指導の下でのチーム作業
: ベテランの診断士(指導員)1名に対し、受講生は原則5〜6名のチームを組みます。 - 本物のクライアント
: 実際にお困りごとを抱える企業などに伺い、ヒアリングと分析を行い、経営改善の提言をまとめます。
得意分野の違う「各分野のプロフェッショナル達」の個性の融合
私が参加した回は、変則的に12名体制という大所帯で、大手企業の会社員から、私のような個人事業主まで、バックグラウンドも得意分野も全く異なるメンバーが集まりました。
経営企画やシステム開発、財務のスペシャリストといった各分野の専門知識を持ち、それぞれの分野でスキルを活用しながら才能を発揮されている精鋭ばかりです。一応、私の得意とするところはホームページやSNS広告運用などの【WEBマーケティング】なのですが、どうにもまわりの皆さんのスキルに見劣りがすると感じたものです。
前職時代の20数年の営業経験も、主にしていたのは、「酒宴」と「クレーム処理」でしたし・・・。

また、指導員の先生も熱い思いをお持ちながらも丁寧に指導してくれる方で、いわゆる「指導員ガチャ」といったものの影響もありませんでした(実務補習2度目の参加の方が前回の指導員と比較されたりしてましたので、確かに補習内容に多少の影響はあるようです)。
そんな個性あふれるチームメンバーが、共同作業する際に印象に残ったことを挙げておきます。
作業時に思ったこと
- 基礎体力の重要性:診断士の現場は今もWord、Excel、パワポが主役です。私自身、最近は使用頻度が減っていたこともあり、作業ベースでかなりの時間を要し、改めてビジネスの基礎体力を鍛え直す機会となりました。
- デジタルツールの違い:コミュニケーションツールや資料の共有ツールが人それぞれでした(最終的に連絡はLINE、資料共有はGoogleドライブを使用しました)。
- 専門用語の違い:業界が変われば使う言葉も変わります(「マージ」という用語を初めて知りました)。
プロとしての品質と納期の自覚
もともとWordは前職の営業時代もそれほど使用していなかったこともあり、作業ベースで結構苦労しました。
また、資料共有にGoogleドライブを使ったのですが、提出はWordやPowerPointといったMicrosoft Officeベースのモノだったので、各自が共有のGoogleドキュメントをダウンロードして編集しアップロードしなおす感じになってしまい、納期のある作業の中での同期が難しかったりもしました。

コミュニケーションツールに関しては、普段LINEを仕事以外の私的な関係間でのツールとして使っているため、チームでの懇親会後に家族に送るメッセージをグループLINEにあげてしまったりしました(遅い時間だったので、幸いにもあまり既読はつきませんでしたが…)。
資料の擦り合わせや統合を表す言葉として、「マージ」という単語を使う方が多く、チーム内でも共通用語化しましたが、私には50年の人生で初めて聞く単語であり、文脈から意味は理解したものの、何か気恥ずかしく感じ、使うのを躊躇したりもしました。

いろいろトピックもありましたが、チームメンバーの皆さんに共通して感じたことは、アウトプットに関してプロとしての品質を担保しようという意識が強かったことです。
研修とはいえ、受け入れて情報を提供してくださっている方からすれば、私たちのために貴重な時間を割いてくださってる訳ですし、提案の内容が未来を左右する可能性もあります。「机上の空論」「報告書のための資料」にならないよう、私も具体的で実現可能性の高そうな提案を必死で考えました。
補習参加者が研修時間外に拘束されたことにより、クレームが入ったことも過去にあったそうで、指導員の先生も時間には気を使ってくれていましたが、分析や提案には、各個人ですることとチームとしてすり合わせていくことがあり、プロセスごとの納期に間に合わせていかないと全体納期に影響します(私自身、トールゲートで要求される「8割完成」のアウトプットを「概要で良い」と勘違いし、チームに多大な迷惑をかけてしまいました)。
そのため、チームメンバーの皆さんは、研修時間外でも作業やコミュニケーションを厭わずされておられました。

もちろん私も全体についていくのに必死だったため、かなりの時間を割きました。まわりの皆さんを巻き込んでしまい、申し訳なかったです。
経験と今後
実務補習の最終的なアウトプットは、分析と提案をまとめた提言書(200ページ越えの超大作になりました)と、それをPowerPointで要約したものを、お客様の前で発表させていただくことでした。
その中で最も感動し、同時に身が引き締まったのは、お客様が私たちの提案を「本気」で聞いてくださったことです。プロとしての責任感、そして自分達の提案が誰かの役に立つかもしれないという手応え。これこそが、診断士という仕事の醍醐味なのだと肌で感じました。
そして、無事アウトプットを果たした後、今回の実務補習を通じ改めて思ったことがあります。それは、「一人で出来ることには限界がある」ということです。
私自身のビジネスも、ホームページ制作や広告運用、画像作成などの各分野の専門家と連携しながら、営業や全体像の設計、実行管理支援といった自分の得意な分野を掛け合わせることで、お客様に価値提供をしています。

今回の実務補習も、短い期間ではありましたが、チームで苦楽を共にしながら一つの成果物を出すプロセスは、実際のプロジェクトそのものでした。むしろ短期間で成果物を出す必要があったからこそ、より強固なチームが構築された気もします。
チームメンバーとは打ち上げ等でさらに懇意になったこともあり、今後も仕事にかかわらず良好な繋がりを維持できたらと思います。
今回の実務補習で、中小企業診断協会の「お作法」的な提案プロセスを学びましたので、今後は民間団体の実施する「現場のリアルに近い(?)」実務従事を受講し、早期に診断士登録を目指します。既存顧客への提案の幅を広げるのはもちろん、新規分野での売上機会を創出すべく、診断士協会などにも積極的に参加していくつもりです。
快く受け入れてくださったお客様や、丁寧に指導してくださった先生、そして共に戦った12名のチームメンバーには感謝しかありません。
経営全体を俯瞰して「次の一手」を共に考えられる存在へ。この経験で得た視点と熱量を、これからの活動にしっかりと活かし、お客様の未来に貢献できる「経営の伴走者」を目指して精進してまいります。
皆様、引き続きよろしくお願いいたします!





